19.借金の相続放棄をする方法

19.借金の相続放棄をする方法

 

「親が亡くなった後、多額の借金をしていたことがわかった」―このようなケースは数多く見られます。親の借金は相続人である子供が引き継がなくてはなりませんが、そんなのは嫌ですよね。でも、相続放棄をすると借金を返す必要はなくなります。

 

 

親の借金は肩代わりしなくていい!

 

・「多額の借金を抱えた父が亡くなったのですが、私が父の借金を支払わなければならないのでしょうか?」このような問題を抱えるかたは、少なくありません。親が死ぬと、基本的には財産は相続人である子供が引き継ぎます。財産とは、預貯金などの現金、不動産、株式などのプラスのものだけではなくマイナスのもの、つまり「借金」も財産のうちに数えられます。そのため、借金も相続することになるので、原則として親の借金は子供が返済しなくてはなりません。

 

・親に借金があっても、それ以上の財産があれば借金を帳消しにできるので問題はありません。問題になるのは、財産よりも借金のほうが多かった場合、すなわち「超過債務」だった場合です。

 

・このような場合は、「相続放棄」することができます。すべての財産を相続しない選択をするので、当然借金も返済する必要はありません。

 

 

相続放棄の注意点

 

・相続放棄には、いくつかの注意点があります。相続放棄をすると、法的には「最初から相続人ではなかった」と考えられます。これは別に、親と子であった事実がなくなるわけではありません。親子は親子ですが、「相続人としての子供はいなかった」という扱いになります。

 

・例えば父ひとり息子ひとりの家庭で、借金まみれの父親が亡くなったとします。そこで息子が相続を放棄します。すると、「最初から子は相続人ではなかった」ことになるので、「では誰が相続人になるのか」という話になります。そうなると相続人は父の親、すなわち息子からすると祖父母になるのです。もし、既に祖父母が亡くなっている場合は父のきょうだい、つまり息子にとっては伯父さんや叔母さんたちが相続人になります。

 

・相続放棄をしても、借金が無くなるわけではありません。故人の借金は、子供以外の相続人が引き継ぐことになってしまいます。そのため相続放棄をする場合は、「自分が相続放棄をしたら、誰が親の借金を支払うのか」をよく考え、対象となる身内のかたたちとよく相談する必要があります。断りもなく黙って相続放棄をして親族に催促が行ったら、その人たちとの関係が悪化しかねません。

 

・よくあるのが、夫が亡くなって多額の借金をしていたことが発覚したときに、妻子が相続放棄をするパターンです。そうなると、存命中の夫の両親が息子の借金を肩代わりしなければならなくなり、お嫁さんや孫たちとの関係が悪化してしまいます。

 

 

相続放棄の方法

 

・相続放棄は、親戚中に「私は相続放棄します」と宣言するだけでは放棄できません。家庭裁判所に赴き、必要書類とともに届け出なくてはなりません。さらに、その届け出が認められなくては相続放棄は行われません。

 

・相続放棄を届け出る家庭裁判所は、亡くなったかたの住民票のある場所を管轄する家庭裁判所になります。

 

・届け出の際に必要になるもの
1.相続放棄申述書
2.亡くなった人の死亡の記録のある戸籍謄本(除籍謄本)
3.亡くなった人の住民票徐票もしくは戸籍附票
4.届け出をする人の戸籍謄本
5.800円分の収入印紙
6.郵便切手(各都道府県によって金額や枚数は違いますが、おおむね1,000円程度)
※相続放棄申述書は家庭裁判所で貰えますが、家庭裁判所のホームページからでもダウンロードすることができます。

 

・書類をすべてそろえて家庭裁判所に提出すると、やがて「照会書」という書面が届きます。これは、間違いなく自分の意思で相続放棄をするのか、また何故相続放棄をするのかなどを問う書面ですので、それに回答して提出します。ただし、照会手続きは各家庭裁判所で違っており、省略したり、逆に書面ではなく面談を要求される場合もあります。

 

・家庭裁判所に相続放棄が認められると、「相続放棄申述受理通知書」という書面が送られてきます。

 

・ここで注意しなければならないことは、相続放棄が認められたとしても、そのことを借金の債権者に対して家庭裁判所から通知するわけではないところにあります。つまり、自分から相続放棄を伝えなければならないのです。相続放棄申述受理通知書を債権者に提示して相続放棄を伝えるのですが、場合によっては「相続放棄申述受理証明書」という書面を求められることがあります。これは、家庭裁判所で別途発行してもらえます。

 

 

相続放棄の期限

 

・実は、相続放棄には期限があります。それは「相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」となっています。少し曖昧な表現ですが、これは「故人から何かを相続することを知ったときから3ヶ月」と考えていいでしょう。

 

・つまり、「49日が過ぎてからゆっくり手続きしよう」などと考えていては遅いということです。もし亡くなった人に借金があった場合や借金が発覚したときには、すみやかに相続放棄するかどうか協議のうえ、手続きしましょう。もしも借金が多額の場合は、借金や相続問題に詳しい弁護士に相談してみるのもよいでしょう。